2月末まで1000円で見れるってことだったんで何か見ようかと109シネマズ川崎のスケジュールとにらめっこ。
結局、オスカー主演賞にノミネートされてるアンジェリーナ・ジョリーの、とゆーより御年78歳のクリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」(08)に決定。
どんな話なのかもほとんど知らなくて、アンジェリーナ・ジョリーがオスカーっぽい熱演ぶちかましちゃってるのかなあって心配もしてたんだけど、どっこいそこはイーストウッドでした。
そんなみっともない真似はしてませんねぇ。
ある日、突然息子が消えてしまった母親が主人公の実話の映画化。
そんなヒューマンドラマのこの映画をきっちりと娯楽作品として、なおかつ風格ある映画に仕上げてある。
巨匠にして職人肌の仕事ぶりを堪能できる映画でした。
「チェンジリング」の何が良かったかって、それは過不足が無いってこと。
近頃は過剰な映画が多すぎるでしょ?
説明が過剰な映画に、音楽が過剰な映画とか。
CG使ったコケ脅しが過剰な映画に、なんか演技の過剰な映画。
で、過剰じゃないと、邦画によくあるよーな映画にさえ成り得てない、作り手の自己満足な映画ね。
そんなゴミみたいな映画が多い中、この映画は実にシンプルに物語を綴ってゆく。
その安心感。心地良さ。
オープニングから静かに流れる音楽。
手際良く短いシーンを重ねて状況が説明され、統一された色彩の中での俳優たちの演技は分をわきまえて度を超すこともない。
むしろこの手の類いの映画であればクライマックスへ向けてもっと感動を盛り上げることだって出来ただろうに、それもあえてしない。
昨今の映画に慣れた観客たちにしてみれば、むしろそれは物足りなさすら感じるんじゃないかといらぬ心配さえしたくなるほど。
でもイーストウッドはあえてそんなことはしない。
それはもちろん今から80年も前のこの実話があまりにも驚くべき話だったってこともある。
失踪した息子が警察の手により帰ってきたけど、その子供は彼女の子供ではない他人。
再度、息子の捜索を警察に依頼するものの警察は事件は解決済みとし、なおかつ厄介払いのために彼女を精神病棟に入れてしまう。
戻ってきた子供が実の息子に間違いないと書面にサインすれば出してやると。
そんな折、20人もの少年を誘拐し殺害した容疑者が浮かび上がる…。
こんな暗く重たい実話をどのようにイーストウッドは娯楽映画として成立させたのかとゆーと、それは彼がその長いキャリアの中でスクリーンでアンチ・ヒーローを演じて貯えたノウハウを、アンジェリーナ・ジョリーにハリー・キャラハンをダブらせるという方法で注入したってこと。
一匹狼のダーティ・ハリーが悪を追いつめるのと同じように、腐敗した警察と凶悪な殺人鬼に対してクリスティン・コリンズという1人の女性を立ち向かわせる。
その辺の感覚は娯楽映画を熟知した職人監督らしさを感じさせます。
ハリー・キャラハンが「Make my day」と言うように主人公に「Go to hell!」と言わせ、裁判のシーンでは初動捜査を怠った担当警部をこてんぱんにヤリ込める。
それによって観客はこんな暗い話の中でも微かな喝采をあげ、溜飲を下げることができる。
そーいった意味でこの映画は息子を思う母親の話のように思わせて、実は正義のために悪と戦う女性の話なんですよね。
そう思うとこの主人公をアンジェリーナ・ジョリーが演じる理由がよく分かる気がする。
「17歳のカルテ」(99)で初めて見て、この女優はなんかスゲェなあって思って以来、初めてアンジェリーナ・ジョリーが良いって思った。
だってカッコ良いんだもん、この映画の彼女は。
それにしてもホントにキャスティングの良い映画です。
ジョン・マルコヴィッチは別格としても、どの登場人物も時代にマッチした顔付きをしてるし。
精神病棟でアンジェリーナに闘争心を植え付けるエイミー・ライアン、第一印象とのギャップを巧く活かした警部役のジェフリー・ドノヴァンと刑事役のマイケル・ケリー。
今まで見たことの無い役者たちなのに、なんでこんなにいいんだろ。
そしてロサンゼルス警察を相手取った裁判で弁護を努めるハーン弁護士役のジェフリー・ピアソンの威厳のある態度と高潔さはなんだろ。
すっごい良い役者。

名優マルコヴィッチと並んでも遜色なしのジェフリー・ピアソン
自らのプロダクションに"マルパソ(険しい道)"名付けた78歳の大ベテランは未だにその歩みを止めることはない。
とにかく映画を知り尽くしたイーストウッドの職人芸を堪能した2時間22分でした。

↓ランキングも、ボチボチです。


女ダーティハリーなんですね。
今週行くならベンジャミン・バトンとどっちにしようか迷っているんですけど、どっちもよさそうですね。
クリント爺監督の映画は、絶対はずしません。
世間一般では俳優として決して名優として評価されていないと思う彼ですが、監督としてはだれもが認める名監督ですね。
まさに女ダーティハリーでしたよ。
どんなアクション物のアンジーよりカッコ良かったっす。
それにしても普通は年令を重ねると枯れた味が出て来るものなのに、イーストウッドってそんな感じとはまた違うんですよね。
パンフレットには黒沢清監督がイーストウッドは小津に近づいてるって書いてありました。
で、この作品ですがアンジェリーナ・ジョリーが出てるってことで少し敬遠してたんですが面白そうですね。神戸ではちょうど今上映してるのでちょっと観に行こうかなと思案中です^^
「エグザイル/絆」の前売り買った時にこの記念写真のポストカードを特典でもらいました。
シルエットになってもラム・シューはすぐわかるでしょ?(笑)
で、「チェンジリング」ですけど。
確かに暗くて重たい話なんだけど、楽しめるんですよ。
見て損はないと思います。