2006年05月18日

「マイ・ムービー・ビジネス」

カンヌ映画祭が開幕したよーです。
今年のカンヌのことは、いつもコメントをくれるCarolitaさんの「Caroli-ta Caffe」で詳しく紹介されてますけど、今年の目玉だった「ダヴィンチ・コード」 (06)のオープニング上映についてニュースが入ってますね。
どーにも、現地での評論家の評判が芳しくないよーです。
失笑をかったとか、長大な原作の情報を詰め込みすぎで、原作を読んでないと解らないといった意見もでてるよーです。
ハワード君とハンクス君ピンチですねぇ。
まあ、とは言え、その昔アメリカでは賛否両論だったコッポラの「地獄の黙示録」 (79)にもグランプリを与えたカンヌです。
現物を見ないことにはなんともいえませんけど。

やっぱり難しいんですね、原作の映画化は。
やっぱり短編や中編を肉付けして膨らませて作った映画化に成功例は多いようですが。
てことで思い出したのが、この本です。

「マイ・ムービー・ビジネス」

作家ジョン・アーヴィングが自作「サイダーハウス・ルール」 (99)映画化完成までの道のりを原作者兼脚本家として綴った回顧録です。

ぼくは読書家ではないけれど、こういった所謂メイキング本がけっこう好きで、今までも「ブレード・ランナー」「未来世紀ブラジル」「地獄の黙示録」「Shall We ダンス?」「怪盗ルビイ」などのメイキング本を楽しんでます。
今ではDVDの特典映像とかで知ることの出来る、それぞれの映画の裏話的なことが分かって、なんだか得した気分になるんですね。

作者のジョン・アーヴィング「ガープの世界」 (82)や「ホテル・ニューハンプシャー」 (84)の原作者として知られるアメリカを代表する作家です。

アーヴィングとの出会いは映画版の「ガープの世界」。
試写会で見て大興奮した映画です。
主演はロビン・ウィリアムス。
それまではロバート・アルトマンの実写版「ポパイ」 ぐらいしか知らなかったけど、この映画のウィリアムスは絶品でしたね。
あとはジョン・リスゴーかな、やっぱり。
エンディングに流れるナット・キング・コールの歌がまた良くてねぇ。

それ以後、小説の方も楽しむようになったわけです。
そんなアーヴィングの小説の中で一番好きだったのが「サイダーハウス・ルール」 で、映画化を最も待ちわびたアーヴィング作品でした。
当時のアーヴィングの小説の特徴は”血と暴力”に溢れていて、長大な物語だということ。
”女性解放運動””レイプ””堕胎”といった内容を扱いながら、読み手には暖かいものが残るという、不思議な感覚が魅力でした。

『マイ・ムービー・ビジネス』は原作者であり、映画完成まで実に13年間脚本家としてこの映画に関わってきたアーヴィング自身による回顧録なんで、面白さはなおさらです。
長大な原作を時間的制約のある映画におさめるためにエピソードや登場人物を削らざるをえない原作者としての苦渋。
また監督との物語に対する解釈の微妙な違いなどが書かれています。

そして、結局アーヴィングはこう言っている。

“映画は監督のもの。自分がもし映画を監督したくなったら、自分は小説を書く”

「サイダーハウス・ルール」はラッセ・ハレストロム監督に落ち着くまでにマイケル・ウィンターボトムウェイン・ワンと言った人たちにも声がかかっていたとのこと。
それぞれの監督に対するアーヴィングの印象もまた面白い。
また「サイダーハウス・ルール」で関わった監督以外でも「ガープの世界」のジョージ・ロイ・ヒルや「ホテル・ニューハンプシャー」のトニー・リチャードソン、そして映画化されなかった『熊を放つ』アービン・カーシュナーといった監督たちとの想い出も“得した気分”を満喫させてくれる。

中でも興味深かったのは、やっぱり「ガープの世界」のこと。
ハッキリとは言ってないが、どうもアーヴィングは映画「ガープの世界」をあまり気に入ってないよーです。
脚色を担当したスティーブ・テシックと自分とではユーモアの質が違うと書いていて、アーヴィングが考える「ガープの世界」と映画化されたものは、かけ離れたものになってるようなんです。
もちろんロビン・ウィリアムスグレン・クロースジョン・リスゴーという出演者たちの素晴らしさは認めてはいますけどね。

マイケル・ケイントビー・マグワイヤーシャリーズ・セロンらが出演した映画「サイダーハウス・ルール」は、その原作を読まずに見るには十分感動的だと思うけど、過去の経験が警告していた通り、やっぱりぼくはダイジェスト版のような感じがしてイマイチのめり込めなかった。
図らずもアーヴィングがあまり気に入ってない「ガープの世界」のスティーヴ・テシックのユーモアとロイ・ヒル監督のポップでメリハリのきいた演出の方が映画という媒体には合っていたのかもしれませんね。
それともなければ「ホテル・ニューハンプシャー」のあのスピード感で物語を語るとか。
でも『アーヴィングの世界』には、この「サイダーハウス・ルール」が一番近いのは確かなんでしょう。
ぼくもこの物語は大好きだし。

で、「ダヴィンチ・コード」ですか。
読まずに見るってことになりそーですね、ぼくの場合は。

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posted by 5011 at 00:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
5011さん、ご無沙汰してますっ。
久しぶりにゆっくりおじゃまさせて頂きました。
私の場合は、俳優が創り上げたイメージで登場人物のキャラクターが
出来上がってしまったけど、
原作から入った方は、自分のイメージと俳優をシンクロさせるのが大変ですよね。
上手くはまればツボですが、そこが、完成度の高い小説を映画化する難しさなんだろうなぁと
思います。アーヴィング氏が監督探しが大変だったというエピソードもうなずけますね。
それが分かっていても、「映画化!」となると、ついつい観てしまうわたし。。。(笑)

メイキング本、面白そうですね!
「ダヴィンチ・コード」も、もうすぐDVD出るんでしたっけ?
あれはきっと、読まずに観て原作に戻った方が面白いと思いますよ。
それとも、もう読んじゃいました?
Posted by carolita at 2006年11月03日 14:57
carolitaさん、どもです。
そーですね、『待望の映画化!』とかって言われると観ちゃいますよね。
「ダヴィンチ・コード」はどーなんですか?
原作読んでないと意味がわからんみたいなことも聞きますしね、どーしようかと。
あとどーしても「太め」「ロン毛」のトム・ハンクスに抵抗感があるんですよ。
Posted by 5011 at 2006年11月03日 18:32
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